農のオーベルジュ 白金の森

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ヒットに隠された教え

【第六話・創業から30年頃】

「コッコファーム」と言えば
段ボール箱に卵を入れて販売する「箱売り」スタイルが
印象的だと思います。

そのスタイルが生まれたキッカケのお話をさせていただきます。


前回のお話にもあった通り、
友人の尽力もあり拡大できた敷地の一角に
平成9年、鶏舎とともに、卵直売所を設けました。


前回のお話「失敗からの学び、出会いからの発展」はこちらから
創業の原点
「温かい卵を直接お客さまにお渡ししたい」
このためには、
お客さまに「来ていただく」ことが必要不可欠だったのです。


しかしながら、思うようにはいきません…

卵の品揃えで勝負しようと思っていた直売所は
閑古鳥が鳴く始末。
 
どうしたものか、と悩んでいたときに
大好きだった宮尾すすむさんのテレビ番組
「ああ日本の社長」に取り上げられていた
ステーキ店「三田屋本店」(兵庫県三田市)
社長の廣岡償治さんの言葉に出会います。

「お客さまのニーズに応えるな」

私自身の考えとは正反対の意外な言葉でした。

「ニーズに応えずにどうするんだ。真意は何なんだろう!」
気になると、いても立ってもいられない性格です。
早速、約束を取りつけ、妻を連れて車を走らせます。

「三田屋」は、山間部にあるにも関わらず、
多くのお客さんで賑わっています。

そこで廣岡さんは
「お客さまの要望には対応しないが、願望には対応している」
こうおっしゃいました。

お客さまの「あれもこれも欲しい」に応えるのではなく
本当に満足されるものを提供すること。
それこそが、本当のサービスだ。

目からうろこが落ちる思いでした。



早速、熊本に戻り、売り場を見直します。
バブル期の名残もあり、過剰包装が主流。
幾重にも卵を包み、高級感を演出していましたが、
 
お客さまはそんなことを望んでいるのか。
満足される卵の売り方は何だろう…

必至で考えた結果、閃いたのが、
卵業界の常識を覆す販売法だったのです。

「箱売り卵」です。


「お客さまは見かけではなく、生産者の思いを求めておられるはずだから、サイズや規格は無視して、朝取れた卵を段ボールに入れて売ってみてはどうだろう」

みんなにプレゼンすると、「卵が割れる」「絶対に売れない」と猛反対です。
それでも、私の中に「お客さまのニーズに合っているはず」という確信があったため、考えを曲げず、チャレンジしてみることにしました。

1箱に詰める卵は3キロ。
中身が見えるように、あえてフタのない段ボールに入れます。
これは、お客さまが大事に抱えて帰ることを考えてのことです。


当初の値段は1箱千円。
規格外は600円。


規格外卵の市販品などなかった時代。
お得感もあったことから、徐々に反応が増え、
数カ月経つ頃には、なんと行列ができるほどになったのです。

特に多かったのは、料理店などにクチコミで広がったこと。
1日千箱売れるほどの人気ぶり。

 
大ヒット商品の誕生です。


戦後、価格が安定していた卵は、
「物価の優等生」と言われていいましたが、
これは、生産者からすると
いつまでも価値が上がらない
「物価の劣等生」。

そんな商いを変えたくてたまらなかった私は、
「養鶏業はメーカー。
その特権として、生産の中身で勝負ができるはずだ」
という持論を持っていましたし、今でも変わりません。


箱売り卵を求めて、
わざわざ菊池の山奥まで買いに来てくださるお客さまがいる。
しかも、行列ができるほどたくさん!

この事実は、私の持論の大きな裏付けになったのです。


今でも人気の高い箱売りの卵。
中身が見えるからこそ、ズラリと並ぶ箱の中から
お客さまが「コレだ」と思うものを選んで
大事に抱えてお持ち帰りいただけると、
生産者の私たちは、嬉しいのです。



朝取れた新鮮な卵は、「白金の森」の料理にもたくさん登場します。
過剰な調理をせず、シンプルに召し上がっていただけるよう
料理長がさまざまな料理に仕上げています。
卵の本当の美味しさを、ぜひお楽しみください。



次回のブログは……
「夢のビジュアル化と、実現」についてのお話です。
 
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