農のオーベルジュ 白金の森

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思い悩んだ時は「原点」に戻る

【第二話・コッコファームの創業】

私の「ひとこと」コラム。前回の内容はいかがだったでしょうか?今回は、「田舎が嫌いで都会に出て、また田舎に帰ってきたお話」です。
 

縁側の下にあるニワトリ小屋

私が生まれ育った家は、ニワトリを10羽程飼っていました。毎朝、ニワトリが生んでくれたタマゴを5個程とってきて、朝食で食べるのが、我が家の何よりのごちそうでした。
 

古材を集めて鶏舎を作りました

二十歳になり、職場での事故がキッカケで生涯続けられる仕事に就きたいと考えていた時、幼少期のタマゴの記憶が鮮明に蘇ったのです……。「生まれたばかりの温かいたまごを、直接お客様に届けたい」。これが人生のスイッチがカチッと入った瞬間でした。

昭和44年4月、脱サラし、養鶏事業がスタートしたのです。

金もない、信用もない、銀行からもお金を借りることができない。横浜から帰ってきたばかり、当然です。自分で古材を使って小屋を作り、400羽の雛を導入しました。この雛たちと、小屋で一緒に寝るのが日課でした。

我が子以上に可愛く、何ひとつ苦労とは感じない日々でした。

 

我が子のように可愛いニワトリたち

しかし、経験がない私には、次から次へと新しい試練が待ち構えていました。
続いての試練は、タマゴの販売です。

農協に引き取ってもらうこともあり、飼料代とタマゴ代は相殺されます。ある日、農協の貯金窓口から「松岡さん、お金を入金してもらわないと、飼料代が足りません」と言われ唖然としました。サラリーマン時代は給料で生活をしていたのに、経営者になったら生活費も出ない。

「これが農業の実態なんだ」と気づき、大きく方向転換をすることにしました。

販売は農協ばかりに頼らず、毎日、行商します。ただ、何もかも経験のないため、納品先のスーパーに逃げられることも…。どんどん自信喪失になり、ひとり悩み続けていました。

とはいえ、悩み続けても仕方ありません。私はある時から、「悩み考えた時は必ず原点に戻ろう」と決めたのです。




「人生のスイッチがカチッと入ったあの瞬間」を思い出し、何を目標に進めてきたのかを思い出すのです。毎日がその繰り返し、自分に言い聞かせる日々でした。

時が過ぎ、失敗続きの日々から、少し抜け出すことが出来たのは、この原点に帰ることと、「失敗するのは経験がないからなんだ。同じ失敗を二度と繰り返さない!」。そう自分に言い聞かせていたからです。

農家にとっての課題のひとつは「営業が苦手」なことです。そこは、11種類もの職を転々とした経験が活きた点です。無駄な時間ではなかったとほっとしています(笑)。

私は「営業こそ生きる道だ」と信じ、「このタマゴは私がつくりました」と売り歩いたのです。もっと生産現場をお客様に知ってもらいたい。その思いと共に行った行商の日々。これが、徐々に身を結び、「行列のできるタマゴ屋」になることが出来たのです。
 

創業から30年経ち「行列のできるタマゴ屋」に

さらに、私には夢がありました。それは、「生産したタマゴ全てをお客様に販売したい」という夢です。叶えるためには知名度が足りないことに気づき、テレビコマーシャルを出すことにしました。ただ、多額のお金をかけても、お客様の反応は薄く、費用対効果の追求に悩みます。続けるべきか、止めるべきか……。今では一般的になってきた「すり込み」の効果か、時間が経つにつれ、知名度・信用度が増し、今の「コッコファーム」へと変わっていき、ありがたいことに、年間約100万人のお客様に来店していただく様になったのです。

私のタマゴにかける夢をひとつ叶えることができ、2019年には50周年を迎えました。2020年は、「コッコファーム」「白金の森」ともに、お客様に愛され続けていただけるように、いつでも「原点」に立ち戻っていきたいと思います。





次回からは、熊本日日新聞に連載した「わたしを語る」から抜粋して御届けいたします。皆様からのご意見・ご感想もお寄せください。
 
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