2020.09.09
vol.5坂本信介さん _Sakamoto shinsuke
「食べた瞬間に『あぁ、美味しい』と 思わず言葉がこぼれる。 そんなぶどうを求めて、研究し続けています」
坂本信介さんprofile
「坂本樹苗園」2代目。知人の薦めで約35年前からぶどう栽培を始め、奥様と二人三脚で「坂本ぶどう園」を切り盛りする。数種類のぶどうを詰め合わせた「ぶどうミックス詰め合わせ」が人気で、直売がメイン。
菊池市に、約6反の農園で19種類のぶどうを栽培している生産者・坂本信介さんがいます。
樹苗園を営む父親の跡を継ぐ、苗木・種のプロフェッショナル。
その坂本さんが35年前から取り組んでいるのがぶどうの栽培です。
「苗木の売り上げが芳しくない時に、知人に薦められたんです。
元々、父の代から続く苗木屋なので知識はありましたが、
勉強しながらのスタートでした」と当時を振り返ります。
ぶどうは、苗木からうまく行けば2年で実がなります。
今でこそ、苗木のプロフェッショナルとはいえ、最初は初心者。苦労も多かったそうです。
「最初の7・8年間は、売り上げも伸びず泣きそうでした。
周囲にも『やめろ』と言われ続けて……。
私自身、「出荷しても二束三文だ」という考えだったことと、
道の駅や物産館が増えてきたタイミングということもあり、直売にこだわりました。」
そんな坂本さんに転機が訪れます。
長雨が続いたある年、周囲のぶどう園が軒並み出来が悪く苦戦していた中、
坂本さんのぶどうは「天候にあまり左右されずに美味しい」と評判に。
それから「坂本ぶどう園のぶどうは美味しい」というイメージが浸透し、
現在に至るのです。
まさに、努力が報われた出来事です。
坂本さんのぶどうは、なぜ美味しいのでしょう?
こだわりの栽培方法を尋ねてみました。
「剪定や花かすの除去、適粒作業……ぶどう栽培のほとんどは手作業です。
エアや電動ハサミを使うなど機械も導入しながら、手入れを行います。
それに、味の美味しさ、見た目の美しさはもちろんですが、
洗うと言っても水でサッと流して食べるのが主流なので、
安心して食べていただけるように減農薬栽培にもこだわっています。
さらに、樹上完熟というのがポイント。糖度は16〜18度が主流で、
酸のキレるタイミングを見極めて収穫するので、美味しいぶどうを味わえます」
この収穫のタイミングは、坂本さんのみが見極めることが出来るため、
収穫の時期は大忙し。一緒に農園を切り盛りする奥様ですら
代わることが出来ない職人技なのです。
毎年、新しい品種にもチャレンジしている坂本さん。
「品種によって栽培方法も異なり壁にぶつかることも。
まだまだ半人前なので、研究を怠りません。
来年は、これまでの栽培方法にプラスして、
糖度をプラス3度上げることを目指しています」
甘さの奥にある旨み・コクを感じるぶどうを求めて
日々、ぶどうと向き合っているのです。
最初に植えた「ベリーA」の苗木は、今も現役です。
収穫が終わると枝木を切り落とすため農園は、すっかり様変わりします。
地表の乾燥を防いだり、虫のエサになったり、雑草にも大事な役割があります。
取材時は、6反の農園に、
シャインマスカットや黒いバラード、藤稔(ふじみのり)、ピオーネなど、
19種類のぶどうが実っていました。
こちらは、シャインマスカット
こちらは、黒いバラード
皮のままいただけ、味の濃さがクセに! シワの寄った果実は、半生レーズンのよう
これらのぶどうの中から、その時美味しいぶどうを厳選して詰め合わせた
「ぶどうミックス詰め合わせ」は、坂本ぶどう園の人気商品で、
まるで宝石箱のような美しさと、食べ比べができる楽しさ、
何より「どれも美味しい」と評判で毎年、予約でいっぱい。
前もって連絡することをお薦めします。
ぶどうミックス詰め合わせ。ご要望の種類で詰め合わせ可能とのこと。
最後に、坂本さんにとってぶどうとは?と尋ねると
「植物の生理を理解する一番の材料。
苗木屋の端くれとして、苗木だけを作っていては、
お客さんからの相談に答えられない。
実を取ってみると、
今、植物が何を求めているかが見えてくるんです」
自身が納得する「美味しいぶどう」のために、坂本さんは日々研究を続けます。
●このコラムは、2020年8月25日現在の情報を元に作成しております。
「坂本ぶどう園」さんの商品は、「コッコファーム たまご庵」で購入可能です(8月15日〜9月15日頃)。
※予約直販を多く扱っていらっしゃるので、たまご庵でご購入の場合は、事前にご確認されることをおすすめいたします。
「坂本ぶどう園」ホームページはこちら